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活動記録(展示企画)

『塔を下から組む ―北海道百年記念塔に関するドローイング展』 

​           デザイン:山田大揮

会期:2018年11月1日(木)〜11日(日)11時〜18時 

会場:ギャラリー門馬(札幌市中央区旭ヶ丘2丁目3-38)

<参加作家>

 
大橋鉄郎
佐藤拓実(企画者)
白濱雅也
中村絵美
藤沢レオ
森本めぐみ
山田大揮

<アーティストトーク>
11月4日(日) 13:00-
11月10日(土) 13:00-

▼詳細は下記サイトのアーカイブをご覧ください(サイト制作:大橋鉄郎)
https://build-the-tower-from-the-bottom.tumblr.com/

・北海道百年記念塔について
 
「北海道百年記念塔」(以下記念塔と表記)は、札幌市厚別区の道立野幌森林公園内にあり、50年前の1968年に「北海道百年記念事業の主要事業の一つとして、北海道の開拓に尽くされた先人の苦労に対し感謝の心を込め、未来への限りない発展を象徴するものとして建設された」塔(※1)です。高さは100メートルで、地上23.5メートルには展望台があります。塔の基部には雪の結晶を模した六角形の広場があり、塔の水平断面は「北」の文字を、壁面の凹凸は風雪と闘った長い歴史の流れを、垂直方向は未来への意欲を表しているのだそうです。建設費5億円のうち半分は道民からの寄付で賄われました。
 2014年から老朽化により立ち入りが禁止されていた記念塔は「北海道命名150年」(※2)とされる今年はじめごろから解体が検討段階に入り、9月には北海道が解体の方針を固めたとの報道がありました。構想には跡地に新しいモニュメントを作る計画も盛り込まれます(※3)。
 
(※1)北海道立総合博物館よりhttp://www.kaitaku.or.jp/group/c-m-t.htm
(※2)松浦武四郎による命名を一つの区切りとし、北海道が主体となって進めている。解体検討も事業の一環。https://hokkaido150.jp/about/?id=concept
(※3)北海道新聞2018年9月4日https://www.hokkaido-np.co.jp/article/224766

 

 

 

 


・展示のいきさつ
 
 記念塔の解体検討の新聞記事を見たときは「とうとう来たか」と思いました。十数年前から立ち入り禁止になっていたことは知っていたので予想できた事態ではありました。
 思い返すと、記念塔には小さいころピクニックがてら家族で出かけたり、小学校の郊外学習で訪れたりしたことがありました。大学生のころは朝晩通学のたびに目にしていました。私にとっては見慣れた札幌の風景の一部です。解体となってみて初めて、私が記念塔にそれなりの思い入れを持っていたことを自覚しました。
 それからだんだん記念塔のことが気になり始めました。少しずつ記念塔について調べ、記念塔を題材に書かれた詩に出会ったり、北海道百年記念事業についても知りました。
 はじめは調べたことをもとに自分の作品のプランを考えたのですが、次第に「他の作家であればどう考えるだろう?」とも思うようになりました。記念塔の話題を持ちかけると興味を持っている方が意外と多いことも分かりました。それで、展示を企画することになったのです。


・展示タイトルについて
 
 「塔は下から組め」というシンプルながら奥深いことわざがあるそうです。何事も基礎が大事だという意味です。記念塔について考えるにあたって、これほどふさわしい言葉は他にないのではないかと思います。どのような塔を建てるにしろ、しっかりした土台が伴わなければ建設は不可能でしょう。
 この展示に集まったのは建築家ではなく美術家です。美術家は塔を建てずに作品を作ります。しかしそこでも「下から組む」というやり方無しでは作品も作れないのではないかと思うのです。

企画者 佐藤拓実(美術家)

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